TOEICのパート5で
「知らない単語がたくさん出てきて解けない」
「語彙問題が多いなー」
と感じてしまうのは、【英文法問題】を【語彙問題】と勘違いしているのかもしれません。
執筆者の鈴木拓です。(>>プロフィールはこちらから)
- 昔は偏差値30、通信簿2と英語が苦手。
- 1年でTOEIC900点。その後TOEIC990点(満点)、英検1級取得。
- WEB英語指導歴22年以上。27,000名超の指導実績。
英文法を問われているのに、語彙で考えていませんか?
パート5が解けない本当の原因は、語彙不足ではなく英文法の可能性大です!
問われているのは語彙ではない
例えば、次の問題↓は、英文法に関する問題です。
(B)comprehensive
(C)comprehension
(D)comprehensively
これは【英文法問題】ですから、英文法がわかっていれば、単語の意味を知らなくても解けます。
↓
(単語の意味は知らないけど‥‥)単語の形から判断して、形容詞なのは(B)だけ。だから正解は(B)。
このように英文法の知識を使って解くのが正しい解き方です。
これを、【語彙問題】として解こうとすると、次のように、正解にたどり着けません。
- 解けないパターン1:「知らない単語だから解けない。自分は語彙不足なんだなー」と勘違いして解けない。
- 解けないパターン2: 単語の意味を知っていたとしても、
(A)comprehend →「理解する解決策が要求された」
(B)comprehensive→「包括的な解決策が要求された」
(C)comprehension→「理解解決策が要求された」
(D)comprehensively→「包括的に解決策が要求された」「うーん、どの選択肢も当てはまりそう・・・」と、結局、正解がわからず解けない。
このように、英文法問題を語彙で考えて解こうとすると、正解できません。
【英文法問題】を【語彙問題】と区別できないのは、英文法の力が不足しているからです。
英文法不足は勉強法に問題あり
英文法の力が不足しているのは、学習法にも問題があります。
TOEICを受ける人の多くは、問題を解いて、わからなかったところがあれば参考書等で調べて覚える学習をしています。
このやり方でも効果が無いわけではありませんが、わからないところを調べて覚えるだけでは「断片的な学習」ですから、すべてをバランス良く網羅することは難しいのです。
語彙と英文法では勉強方法が違う
例えば語彙だったら、アンバランスな語彙力にならないように、「基本的な単語帳を一冊やって、基礎語彙力をつける」といった、語彙に専念して体系的に覚える学習が望ましいです。
しかしながら、語彙というのは、「この単語を知らないと、この単語が覚えられない」ということがないので、問題集を解きながら、その都度出てきたものを覚えるというやり方でも大きな問題にはなりません。
circumvent を 「迂回する」と覚えてしまえばそれでOK。
語彙に関して、簡単なものから順番に覚えなければならないというルールは無い。
ですが、英文法は、「この英文法知識がないと、この英文法を理解できない」ということが生じます。
この点が、英文法と語彙での決定的な違いで、学習方法が異なる理由なんです。
英文法は体系的に学んで理解するもの
先ほど、語彙については、「この単語を知らないと、この単語が覚えられない」ということがないとお話ししましたね。
つまり、語彙を習得に、前提となる知識(=前提知識)は必要ありません。
それに対し、英文法の習得には、前提知識が必要なのです。
A〜Zまで学ぶべきことがあるとしたら、A→B→C→D→E…というように、英文法は順番通りに理解を積み重ねるしかないのです。
「関係代名詞の問題でわからないことがあったら、そのときに調べればいい」と思うかもしれませんが、これができるのは上級者だけ。
初心者や中級者でもできる人はいますが、それは、「英文法を一通り体系的に学んだ人※」だけです。
(※非常にできる人ならば別ですが、「中学・高校時代に習った」は含みません)
英文法が「つまみ食い」できない理由
例えば、次↓の関係代名詞の問題を解く場合。
This is the office ——– I work at on Friday.
(A) which
(B) where
(C) whose
(D) why
わからないから、参考書の「関係代名詞の章」でもう少し調べてみよう!
そもそも「前置詞があるから」っていう理由もよくわからないままだし・・・
この例だと、関係代名詞を理解するために必要な、「文とはこう言う形であるべき」という「文型」と、「前置詞」の知識が不足しているからです。
関係代名詞を学習するのであれば、
そのため、関係代名詞の章では、「もう、文型や前置詞はわかっているでしょ」という前提で説明が進んでしまうのです。
これが、「関係代名詞だけ」というように、部分的な学習だけで理解すること(=つまみ食い)ができない理由です。
体系的に英文法学習済なら理解が早い
今までに、英文法を一通り体系的に英文法を学んだ人ならば、簡略化された解説でも理解できますし、仮に前提知識を忘れてしまっていても、
「あー、なんか文型でやったよね」
「あー、前置詞のところでやった内容かも」
というように、教材で勉強した場所ぐらいは思い出せますし、そこ(文型や前置詞)をチェックすれば、
「あー、そうだった!」
とすぐに理解できるので、効率良く学習が進みます。
ところが、英文法を体系的に学んだことがない人だと、スムーズに理解できません。
そうなると、「よくわからないけど、前置詞があったらwhichと覚えておこう」と、付け焼き刃の暗記でわかったつもりになってしまう方もいますが、結局は消化不良のままです。
それではまったく応用が効かないので、努力が「ザルに水」となってしまうのです。
「理解せずに暗記」で失敗する例
とりあえず「前置詞があったらwhich」って暗記しておけばいいよね?
This is the office ——– I work at a big desk.
(A) which
(B) where
(C) whose
(D) why
「前置詞があったらwhich 」だったから、答えは(A) whichだよね?
この場合は、前置詞at があろうと、正解は(B) where です。
この記事で解決できるお悩み 関係代名詞と関係副詞の違い(使い分け)がわからない完全文・不完全文って何のこと?先行詞が場所のときはwhere?それともwhich? 関係詞(※関係代名詞と関係副詞の総称)のつまづきやすいところのひとつが[…]
英文法学習は【TOEIC パート5対策】だけではない!
英文法を学べば、TOEICの英文法問題を解けるようになりますが、これは「結果論」であるべきです。
つまり、「英文法を学ぶ真の目的は、英文法問題を解けるようにするためではない」ということ。
英文法問題対策を目的とした英文法学習では、暗記やテクニックに頼った勉強法に傾倒しやすく、むしろ非効率だからです。
そもそも、英文法は英文法問題のために存在しているのではありません。
英文法はTOEICに限らず全英語学習の基礎となる
最終的に、英文法を学習する目的は
- 単語を読んだり、聞いたりして理解できるようになるため
- 正しい英語を話せる、書けるようになるため
この2つに集約されます。
だから、英文法というのは、英語学習をする以上、誰にでも必要。
TOEICや英検などの試験が目標の方はもちろん、海外ドラマ・映画・英語ニュースを字幕無しで理解が目標だったり、洋書や英字新聞を読めるのが目標の方、英会話が目標の方であっても必要。
このように、英文法は、全ての英語学習において柱(基礎)となるものですから、理解するまでしっかりと学習すべきものなのです。
だからこそ、テクニックや暗記に頼ってしまっては、本末転倒です。