この記事で解決できるお悩み
関係代名詞と関係副詞の違い(使い分け)がわからない
完全文・不完全文って何のこと?
先行詞が場所のときはwhere?それともwhich?
関係詞(※関係代名詞と関係副詞の総称)のつまづきやすいところのひとつが、「場所が先行詞ならwhere」と判断して不正解となるパターン。
This is the community center ________ Jason and I visited three years ago.
(A)which
(B)where
(C)who
(D)why
正解は(A)のwhichです。
鈴木 拓
執筆者の鈴木拓です。(プロフィールはこちら)
- 昔は偏差値30、通信簿2と英語が苦手。
- 1年でTOEIC900点。その後TOEIC990点(満点)、英検1級取得。
- WEB英語指導歴23年。28,000名超の指導実績。
「場所が先行詞ならwhere」と覚えている人が多いのですが、
先行詞が場所であっても、whichだったりthatが答えということもあるんです。
その理由について、市販参考書でよくある解説はこのような感じ↓
・ 後ろの文が不完全であるから
・ visitは他動詞なのに目的語がないから
「不完全」とか、「他動詞」とか「目的語」とか、専門用語ばかりでわかりにくいですよね。
それもそのはず、関係詞(※関係代名詞と関係副詞の両方をまとめて関係詞と呼びます)を学ぶためには、関係詞以外の英文法知識が大量に必要だからなんです。
品詞、文型、副詞、前置詞、従属接続詞、等位接続詞、受動態、不定詞、分詞、動名詞、疑問文など
【関係代名詞と関係副詞】基本のルールをおさえる
関係詞を理解するには大量の英文法知識が必要ですが、初心者や英文法知識に不安がある方にもわかりやすいように基本を解説しますね。
関係詞の基本をおさえよう!
関係詞の基本中の基本は、この2つ。
- 「関係詞+文」のように、必ず文を後ろに置いて使われる。
- 「関係詞+文」は大きな形容詞になって、先行詞と呼ばれる直前の名詞を修飾する。
具体的に次の例文↓を使って説明します。
This is the apartment where Rachel and I visited Jack last week.
- 「関係詞+文」のように、必ず文を後ろに置いて使われる。
→where(関係詞)+ Rachel and I visited Jack last week(文).
- 「関係詞+文」は大きな形容詞になって、先行詞と呼ばれる直前の名詞を修飾する。
→「関係詞(where) + 文(Rachel and I visited Jack last week)」が大きな形容詞になって、先行詞(the apartment)を修飾している。
したがって、例文の意味は、「レイチェルと私が先週ジャックを訪ねたアパート」となります。
【関係代名詞と関係副詞】「違い」は後ろの文が完全か不完全か
関係詞は大きく2つに分類されます。
【関係副詞】:where, when,why
【関係代名詞】:which, who,whom,that
【関係副詞】後に完全文(普通の文)が続く
【関係副詞】:where, when,why → 後ろの文が普通の文
関係副詞は、関係詞の後ろに普通の文が来ます。
「普通ではない文」については【関係代名詞】に関係する内容ですので、【関係代名詞】の説明時に記載することにしましょう。
ひとまず、【関係副詞】は、関係詞の後に普通の文が続くというのがポイント。
そして、その文が直前の名詞(先行詞)を修飾します。
あてはまる関係詞は、先行詞によって決まります。
- 先行詞が場所ならwhere
- 先行詞が時ならwhen
- 先行詞が理由ならwhy
例えば先行詞がthe apartmentだったら、場所を表しているので、関係詞はwhereとなります。
【関係代名詞】後に不完全な文が続く
【関係代名詞】:which, who,whom,that → 後ろの文が、名詞が1つ抜けた不完全な文
「関係詞+文」」という形式や、直前の名詞(先行詞)を修飾するという点は、関係副詞と同じ。
なのですが、【関係代名詞】は関係副詞よりも少し難しくなります。
それは、「関係詞+文」の「文」から名詞を一つ抜いて、不完全な文にするというところ。
関係副詞の説明の際に「普通じゃない文」と言ったのは、この不完全な文のことなんです。
問題の解説をしながら不完全な文について、具体的に説明していきますね。
1、This is the community center ________ Jason and I visited three years ago.
(A)which
(B)where
(C)who
(D)why
空欄には選択肢のいずれかの関係詞があてはまるのですが、関係詞の後に続く文は、「Jason and I visited three years ago.」となっています。
これは、一見すると普通の文のようですが、実は改造されているのです。
まず、visitedという動詞に注目します。
visitは「他動詞」と呼ばれ、Oを必要とする動詞です。
(※Oは日本語で「目的語」と呼ばれているものです。)
なので、本来はvisitedの後にO(ここではthe community center)が入るはずなのです。
ですが、例題では下記の図のように、Oが抜けて空欄になってしまっています。
他動詞の場合はOが必要なのに、その部分が空欄になってしまっていますから、文として成立しません。
つまり、これが「不完全な文」なのです。
この不完全な文と一緒に使う関係詞が、【関係代名詞】のwhich, who,whom,thatというわけです。
今回は関係詞の後ろの文が、名詞が1つ抜けた不完全な文となっているので、
【関係代名詞】に属する関係詞があてはまる。
↓
関係代名詞に属している選択肢は(A)whichと(C)whoの2つ。
↓
例題の先行詞が「物」なので(A)whichがあてはまる。(whoは人が先行詞のときに使う)
したがって、正解は(A)which となります。
ということは、「関係詞の後ろの文にvisitがある時は、場所が先行詞でもwhich」と覚えておけばいい?
いいえ。
何でもパターン化して覚えるというのはおすすめしません。
暗記するだけでは、次のような問題↓に引っ掛かってしまうからなんです。
2、This is the apartment _______ Rachel and I visited Jack last week.
(A)which
(B)where
(C)who
(D)why
この問題もvisitが入っています。
ですが、正解は(A)whichではありません。
図で表すとこのようになります。

今回は全ての枠が埋まっている(visitの目的語のOがある)ので、文として成立している。
↓
普通の文とセットで使われる【関係副詞】に属する選択肢、(B)whereか(D)whyのいずれかが正解
↓
今回は先行詞が場所だから(B)where があてはまる。(whyは先行詞が理由のときに使う)
したがって、例題2の正解は(B)where です。
関係詞はパターンを暗記するだけで解けるほど単純ではありません。
今回解説した内容は、関係詞の中のほんのごくごく一部です。
関係詞をマスターするには基礎からの英文法の知識を一つずつ積み重ねていくことが必要不可欠です。
【関係副詞】 :
where, when,why → 後ろに普通の文がくる。(完全文)
【関係代名詞】:which, who,whom,that → 後ろに名詞が1つ抜けた不完全な文がくる。(不完全文)
【関係詞をマスターするために】英文法は順番に学ぶべき!
今回は関係詞の解説でしたが、関連する分野である他動詞、文型、目的語、名詞の穴なども一緒に解説しました。
実は、英文法も小説と同じ。
関係詞の章だけを読むというのは、小説をいきなり途中から読み始めるようなものなのです。
関係詞を理解できない原因は、それより前の分野を理解できていないところにあるのですから、まずはそこを学ばないといけません。
関係詞に限らず、不定詞、分詞、動名詞、従属接続し、等位接続詞、前置詞などなど、ほぼ全ての分野が積み重ねで、順番に学んでいくことで理解できるようになります。