【TOEIC】日本語訳にこだわらない人は上達しやすい

この記事でわかること!

英語学習における日本語訳の必要性
日本語訳をするときの注意点
英語上級者のリーディング方法

鈴木 拓
英語が上達する方にはいくつかの共通点があります。
執筆者の鈴木拓です。(>>プロフィールはこちらから

  • 昔は偏差値30、通信簿2と英語が苦手。
  • 1年でTOEIC900点。その後TOEIC990点(満点)、英検1級取得。
  • WEB英語指導歴22年以上。27,000名超の指導実績

その共通点の一つが「日本語訳にこだわらない人のほうが上達しやすい」というものです。

「日本語に訳すこと」がゴールではない

中学・高校で習う英文の読み方は、一般的には「日本語に訳して読む」スタイル。

I think this project is going to succeed.
→「私はこの計画は成功すると思います」と一文一文キッチリと訳して読むスタイル

ですから、授業においても「この英文を日本語に訳してください」と指名されたり、試験では「下線部を日本語に訳しなさい」という問題が数多く出題されたりしますね。

それはなぜかと言えば、指導者にとって「英文をきちんと理解しているか」をチェックするのに都合が良いからです。

つまり、日本語に訳すことは、英語学習の最終目的ではありません

ですから、「私はこの計画は成功すると思います」のように、キッチリ日本語に訳すのは、はっきり言って悪い読み方。

日本語で訳す作業を続けていると、日本語に依存して読む癖がついてしまい、思わぬ弊害が生じてしまうからです。

一つひとつ日本語に訳す「訳し読み」は弊害だらけ

実は、英文を日本語に訳すのは、大変難しい読み方なんです。

なぜなら、英語のまま読めばいいところを、わざわざ別の言語に変換する作業を入れて、その言語を介して読むことになるからです。

本来は「読む」だけでいいところを、「訳す」と「読む」の2つの作業をしなければならず、負担も増えれば時間もかかります。

私は通訳学校に2年間通ったことがあるので身に染みてよくわかるのですが、「英語で理解できること」と、「それを日本語にすること」というのはまったく別の技能です。

そもそも、英語と日本語はまったく別の言語ですから、語順が違ったり、日本語で表現することが難しい単語や表現もたくさんあります。

日本語訳が難しい理由その1:「返り読み」で時間がかかる

これはご存じの方が多いですが、英語と日本語では単語の並び順はまったく違うということ

特に、一番大きな違いが、動詞の位置です。

次の文を例に見てみましょう。

think this young man has a great potential.

動詞である think は2番目にきますね。

これを日本語にすると、「私はこの若者は素晴らしい可能性を秘めていると思う。」となり、「思う」は一番最後にきます。

日本語では最後にくる9番目の単語(〜と思う)が、英語では2番目(think) にあるのですから、日本語の順番に当てはめて読もうとすると、何回も英文を読み直すことになります。(←これを、「返り読み」といいます。)

英語も日本語と同様に、本来は返り読みせずに、左から右に真っすぐ読むべきなのです。

返り読みをすると、リーディングでは何倍も時間がかかってしまいます。

リスニングにおいても同じで、頭から英文を理解する必要がありますから、返り読みで理解しようとするとスピードに対応できなくなってしまうのです。

頭から意味をつなげていくだけではダメ

先ほどお話したように、キッチリと綺麗に日本語に訳すのが悪い方法だと言うことはけっこう有名でして、それを避けるために多くの人が取るのが、「頭から意味をつなげる方法」です。

I           私は
think         思います
this project     この計画は
is going to succeed 成功すると

のように、頭から日本語に訳して意味をつなげていく読み方ですね。

確かにこの方法でも読めることは読めますが、それは上記のような簡単な文・短い文に限られます。
長い文・複雑な文になると、頭から意味をつなげる方法では読めなくなってしまうので注意が必要です。

単語の意味はわかるのに、なぜか文全体の意味を正しく読み取ることができなかったということはありませんか?

例えば、次の文↓は意味を正しく取れない人が多いです。

The pathway many people think is a sidewalk is actually what Europeans call a bike path dedicated to cycling.

文中に出てきた単語の意味は以下に示しておきますので、これを参考に訳してみましょう。

・pathway  通路
・sidewalk 歩道
・European ヨーロッパ人
・path   通路
・dedicate 専用とされている
・cycle   自転車に乗る

単語の意味をわかった上で、前から日本語に訳していく方法だと・・・

the pathway  通路は
many people  多くの人は
think     思います
is a sidewalk 歩道です


???なんか意味がわからない‥
鈴木 拓
このように、単に前から日本語に訳してつなげるだけでは意味が取れなくなってしまいますね。その原因は、「”構造”を意識していない」からだから、単語や熟語の意味は知っているのに意味がわからなくなってしまうのです。

リーディングができる人の読み方とは?

先ほどの文↓

The pathway many people think is a sidewalk is actually what Europeans call a bike path dedicated to cycling.

だったら、リーディングができる人は次のように読んでいます。

The pathway→主語
many people→名詞が2つ続いた(the pathwayとmany people)。ということは、many people以下はthe pathwayを修飾だな。
think is→ あ、動詞が2つ続いた。ってことは、この間に切れ目があって、もともとは、この間にpathwayが入っていたな。
a sidewalk→ はい、isの補語ね。
is→ これが主文の動詞だね。 主語は「多くの人が歩道だと思っている通路は」ってことだ。



というように、リーディングができる人は、「この単語はどのような役割を果たしているのか?」という「構造」を意識して読んでいるのです。

多くの人が歩道だと思っているものは、実はヨーロッパの人にとっては自転車専用道路と呼ばれているものです。

こんなに一つひとつ構造を意識して読んでいくなんて大変!
それに、試験のときにはそんなに時間をかけて読めない・・・
鈴木 拓

そう思う気持ちもよくわかります。
ですが、その大変さがずっと続くわけではありませんよ。

しかも、かなりの上級者になると、文の構造を無意識に、一瞬のうちに処理できるようになります
それはもはや「考えている」という感じではなく、「勝手に身体がそう反応して、日本語を読むように感覚で読んでいるという状態になります。

※(参考までに)例文の意味:「多くの人が歩道だと思っているものは、実はヨーロッパの人が自転車専用の道路と呼んでいるものです。」

英文を日本語のように読む

先ほどお話ししたように、「この単語はどういう役割を果たしているのか?」という、「構造」を意識する。
しかも、それを、無意識に、一瞬にして処理してしまう。これがリーディングができる人の読み方です。

リーディングができる人の読み方を習得するためには、

  1. まずは、構造を理解できるだけの知識を身に付ける
  2. 構造を意識して読む「読み方」を学ぶ
  3. 構造を意識して読む方法を重ねて訓練する

この3つのプロセスが必要です。

このように構造を意識した読み方を続けて行くと、まるで日本語を読むかのように、左から右に真っすぐに、日本語に訳すことなく読めるようになっていきます。

ポイントは「文の構造」!

多くの人は、構造への意識が薄い(もしくは、まったく意識していない)ために、リーディングで苦労しています。
リーディング上達のためには、構造を意識。これにつきます。

鈴木 拓

まずは英文法で文の「構造」を学習しましょう!

構造を学習するなら、TOEIC 990(満点)、英検1級、27,300名以上の指導経験から、英文法学習の参考書(講座)は↓が自信を持っておすすめです。

・初心者・苦手な方:「基礎英語講座NB」
・中級/上級 万能型:「総合実用英文法講座」

日本語訳が難しい理由その2:英語のニュアンスを理解できない

日本語と英語は、必ずしも1対1のピッタリな訳があるわけではありません

例えば、desperate 。

人気海外ドラマで『デスパレートな妻たち』という作品がありますが、これは原題の『Desperate Housewives』を訳したものです。

邦題では、desperate はそのままカタカナになっていて、日本語に訳されていません。

その理由は、desperate のニュアンスをピッタリ表すことができる日本語がないからです。

日本語に当てはめることにこだわってしまうと英語特有のニュアンスを感じ取ることができなくなってしまうのです。

日本語訳よりも英単語のニュアンスを感じ取ろう

英語は、英語で読んで、なんとなくイメージがわけば、それでOK

通訳者・翻訳者を目指しているのでなければ、「日本語でどうなるか?」を考える必要はありません。

日本語に訳すのは、どうしても英語だけだと意味が理解できないときにとどめるべきです。

きれいな日本語訳にこだわらない

日本語に訳す場合でも、きれいな日本語にこだわる必要はありません

前述の英文(I think this young man has a great potential.)でしたら、「この若い男、可能性すごいと思います」という程度に内容をつかんでいればOK。

日本語の観点からすれば、『可能性を秘めている』と訳したほうがいいのかもしれませんが、それはもはや「英語」ではなく「国語」です。

きれいな日本語にしなければならないのは通訳者・翻訳者だけです。

これらの職業を目指すのでなければ、きれいな日本語にすることはもちろん、日本語に訳す必要すらないのです。

英語学習の目的は英語の意味を理解すること

energetic は「元気な」より「エネルギーにあふれた」という意味の方がいいかな?それとも「精力的な」?

とか、

too difficult to solve は、「難しすぎて解けない」? それとも、「解けないほど難しい」?

というように、どれでも基本の意味は同じなのに、綺麗な日本語にしたいがために細部にこだわってしまうのは本末転倒です。

真面目な方ほど気になってしまうものですし、その気持ちもよくわかります。

ですが、重要なのは、英文の意味を理解すること

日本語でどういう和訳になるかを考えることではないのです。

現に、英語ができる人ほど、「これって日本語だと、どういう意味?」と聞かれて返答に困るものなんです。

「きれいな日本語訳を作ろう」とするのではなく、「英語を見て(聞いて)、そのままの意味を感じ取る」ことが大切です。

鈴木 拓
英語で何が書いてあるか、何を言っているのかを理解できることが英語学習の目的!
日本語訳が上手にできなくても、内容が把握できるのならそれでOKなんです。
そして、「英語を見て(聞いて)、そのままの意味を感じ取る」練習をするのに最も適しているのが海外ドラマです。
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